絵本『とんでいったふうせんは』|切ないけれど温かい気持ちになる絵本【英語絵本も】

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みなさんには、忘れられない思い出や大切な思い出がありますか?

『とんでいったふうせんは』は、そんな心の中の思い出や今を、大切にしていきたいと感じられる絵本です。

カラフルな風船をもつ優しい表情をしたおじいさんと男の子の表紙が印象的で、ページをめくると、そこには切ないけれど、温かい世界が広がっていました。

この記事では、絵本『とんでいったふうせんは』についてご紹介しています。

胸にじんわりと余韻が残る素敵な絵本です。
目次

『とんでいったふうせんは』のあらすじ

『ぼくはおとうとよりおもいでというふうせんをたくさんもっている。』という一文から始まります。

そう。この絵本で、ふうせんが意味するものは、思い出のことなんです。

絵本に出てくるぼく、弟、パパ、ママ、犬、おじいちゃん…全員の手にふうせんが握られています。

長く生きたおじいちゃんの手には誰よりも多くのふうせんがあり、ぼくは、おじいちゃんのふうせんの話を聞くのが大好きでした。

おじいちゃんとぼくの手には、同じ思い出がつまったおそろいの銀色のふうせんも握られていました。

しかし、いつからかおじいちゃんのふうせんは、おじいちゃんの手を離れていくように…そのことに気が付かないおじいちゃんにぼくの心は揺れていきます。

物語のラストには、切ないけれど胸が温かくなる展開が待っています。

とんでいったふうせんは、どこに行ってしまったのでしょうか?

モノトーンタッチの絵の中で、カラフルに描かれた風船は、物語に優しく彩りを添えていて、何度も読み返したくなる絵本です。

 

絵本『とんでいったふうせんは』について

『とんでいったふうせんは』は、2018年8月にアメリカで、2019年9月に日本で出版された比較的新しい絵本です。

『とんでいったふうせんは』

  • 文:ジェシー・オリベロス
  • 絵:ダナ・ウルエコッテ(韓国生まれ。現在ニューヨークで活動するアニメーター兼絵本作家)
  • 訳:落合恵子
  • 出版:絵本塾出版
  • 2019年9月初版発行
  • 40ページ
  • シュナイダー・ファミリーブック賞(米国図書館協会)
  • ゴールデン・カイト賞(全米児童書作家・画家協会)
  • ようちえん絵本大賞(全日本私立幼稚園幼児教育研究機構)

ジェシー・オリベロスさんは、看護師としてのキャリアの後、絵本作家としての活動を始めました。4人のお子さんを育てるお母さんです。

『とんでいったふうせんは』は、そんな彼女のデビュー作です。著者の祖父がアルツハイマー病を発症したことをきっかけに生まれた1冊です。人生には試練もあるが希望も満ちていることを子どもたちに伝えたいという著者の思いが込められています。

子どもだけでなく、大人も感じることがたくあんある絵本だと思うよ。
家族への愛があふれている物語です。

2019ゴールデン・カイト賞受賞

ゴールデン・カイト賞は、「児童書作家・画家協会」によって「同業者」に贈られる賞で、次の部門があります。

  • フィクション
  • ノンフィクション
  • 絵本:絵
  • 絵本:文

対象となるのは、作家・画家協会会員が前年に出版した作品です。

内容や芸術性が優れていることに加え、子どもの興味や関心をひく魅力が備わっているかどうかが審査の基準となるそうです。

『とんでいったふうせんは』は、2019年に絵本:文部門で受賞しています。

▼受賞作の原書はこちら▼

2019シュナイダー・ファミリーブック賞受賞

2019年ゴールデン・カイト賞の他に、同年シュナイダー・ファミリーブック賞も受賞している本作。

シュナイダー・ファミリーブック賞は、障がいをもつ子ども、若者、その家族や友だちを描いた作品が対象となります。

  • ティーン向け(13~18歳)
  • 中学生向け(11~13歳)
  • 子ども向け(0~10歳)

上記の3部門から1冊ずつ選ばれます。

『とんでいったふうせんは』は、2019年子ども向け部門で受賞しているんですよ。

第11回ようちえん絵本大賞受賞

先に紹介した2つの賞は、アメリカでの受賞歴ですが、日本でも幼稚園絵本大賞を受賞しています。

ようちえん絵本大賞とは、全日本私立幼稚園幼児教育研究機構によって選定される賞です。

  • 子どもに読み聞かせたい絵本
  • お父さん・お母さんに読んでほしい・お勧めしたい絵本
  • まだ多くには知られていない素晴らしい絵本の発掘

以上の3つが選考基準になっているそうです。

大人にもお勧めできる作品として選ばれたのね。

『とんでいったふうせんは』をおすすめしたい人は?

『とんでいったふうせんは』には、おじいちゃんと主人公の男の子のかかわりが、温かい世界観で描かれています。

本文は、ひらがなとカタカナだけで書かれていて、子どもも読みやすいです。

子どもはもちろん、大切な思い出をもつすべての人に読んでほしい絵本です。

その理由は、訳者・落合恵子さんの次のような言葉にあります。

この絵本を、男の子とおなじような体験をしている子ども(大人にも)や、これからするであろう子ども(大人にも)贈ります。人生でたぶん最も深く母とつきあっていたあの日々に、この絵本にであいたかったという思いをこめて。

『とんでいったふうせんは』訳者:あとがきより

訳者の落合さん自身も、認知症のお母さんの介護を経験された上で、この絵本を翻訳されています。

自分自身や身近な人が老いていくことを受け入れることや、その変化を目の当たりにすることは、苦しく、目をそむけたくなることもあるかもしれません。

だけど、この絵本のように老いていくことをとらえることができたら、今大切な人と過ごしている時間をより愛しく思えるようになる気がします。

この絵本は自分自身がもつ思い出が多いほど、胸に深くしみる絵本だと感じています。

2歳児に読んであげた反応は?

『とんでいったふうせんは』を読んだのは、図書館で2歳の娘が背表紙の風船に惹かれたことがきっかけです。

娘には難しそうかな…と思いつつ、私自身も表紙のかわいさにつられて借りてみました。

やっぱり、絵本の内容の理解は難しかったみたいです。

娘は、私に絵本を読んでもらった後に、「ふうせんは、とんでいってしまいました。」と元気よくページをめくっていました。

つい泣いてしまった私の顔を見て、「この絵本読んだら涙が出るの?」と、キョトンとしていたのがかわいかったです。

これから、思い出のふうせんが増えていく子どもたち。また、大きくなったときに読み返したい絵本となりました。

まとめ:『とんでいったふうせんは』は温かく優しい絵本

著者の経験から書かれた作品と言うこともあり、お話の内容が胸にストンと入ってくる物語でした。

認知症と言う病気を扱っていますが、柔らかな絵と語り口で、その病気の重さを感じさせません。

自分自身の思い出や、大切な人との時間をかけがえのないものとして感じることができる素敵な絵本と出会うことができました。

原書”The Remember Baloons”はこちら。

原書の販売サイトページでは、対象年齢は5~9歳とされています。

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この記事を書いた人

ゆとりのある人になるのが目標。
頭に乗っているのは、ゆトリさんです。

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